診療科:放射線科 紹介
放射線科では、CT・MRIを用いて、診断・治療に必要な画像の撮影および画像診断レポート作成を主な業
務としています。そのほか、肝細胞癌に対するTACE(肝動脈化学塞栓術)、出血に対する止血術、生検、ドレナージなども行っています。
本年3月いっぱいで溝尻智大先生、吉田龍也先生が異動となり、本年4月に佐々木剛先生、原井亮太先生が赴任しており、
現在3名体制(放射線診断専門医1名、放射線科専門医1名、専修医1名)で勤務しています。
CT検査
Siemens社のDual Source CTであるSOMATOM Drive(Drive)およびPhilips社製の256 sliceのCT
である Brilliance iCT (iCT)を用いて検査を行っています。いずれも高性能な装置です。SOMATOMDriveでは、2つのX線管球を
搭載しており、2つの管球から同時に異なるエネルギーのX線を出力するDual Energy CT撮影を行うことで、椎体の新鮮圧迫骨折の
評価などが可能です。また、2つのX線管球を搭載していることから、2つのX線から同じエネルギーのX線を出力することによって、
短時間で画像を得る高速撮像(Drive Spiral)も可能であり、息止め不良な患者様でもアーチファクトの少ない高画質な画像を提供できます。
また、冠動脈CT検査においても高い空間分解能を生かし、アーチファクトの少ない画像を提供できる様になりました。
また、金属アーチファクト低減技術(iMAR)も搭載しており、大腿骨頭置換術後の金属アーチファクトで評価不能であった骨盤部の評価
(イレウスの閉塞機転など)にも寄与しています。Drive、iCTともに、低管電圧撮影を行うことで、少ないヨード造影剤でこれまでと同等の
診断精度の画像を得ることが可能です。当科では患者様の被ばく低減にも積極的に取り組んでいます。当院のCT装置は様々な病態に対して、
非常に有用な情報を提供可能な装置ですので、積極的にご利用頂ければ幸いです。
MRI検査
当院では3.0T MR装置1台、1.5T MR装置1台の2台体制で運用を行っていますが、昨年度Siemens社製の1.5T MR装置である
MAGNETOM Avantoが、同じく1.5T MR装置であるMAGNETOM Solaに更新となりました。今回導入された装置は、圧縮センシング技術;Compressed Sensing(CS)
といった撮像時間短縮に役立つ技術が搭載されており、MRIの撮像時間短縮につながっています。また、GRASP-VIBEという圧縮センシング技術を応用させ、
非常に高い時間分解能と空間分解能を両立させたシークエンスも備えており、部位によっては息止めなしで撮像が可能となっています。寝台も着脱可能であり、
磁場の発生している環境下である検査室内に立ち入る人数を制限することが可能で、安全性の向上につながっています。
また、Philips社製の3.0T MR装置であるIngenia 3.0Tも引き続き稼働しています。MRIには体動などのアーチファクトの影響を受けやすいという弱点もあるため、
対象となる検査部位および患者様の状態により、3.0Tおよび1.5Tの機械に適宜振り分けての検査を行っています。MRI検査については、CTと異なり撮影禁忌となる
体内デバイスや、目的とする病変や領域などの制約がある場合が多いため、検査内容について不明な点がある場合には、放射線科までご一報いただければ幸いです。
IVR (vascular IVR, non-vascular IVR)
2019年より、Siemens社製のIVR-CT装置が導入されました。血管造影装置およびCT装置が連動するnexaris systemを搭載しており、
これまでの血管造影装置より良好な画質を得ることが可能です。(このnexaris systemを搭載したIVR-CT装置は国内一号機になるそうです)また、コーンビームCTなども可能
であり、腫瘍の栄養血管の同定などに役立っています。また、CTガイド下の手技(生検・ドレナージ)においても、被験者だけでなく、術者の被ばくも低減するシステムが
搭載されています。画質も非常に良好であり、手技に非常に役立っています。
その他(CT検査依頼の際の被ばく説明の必要性および被ばく説明書のご案内)
2020年の4月の医療法改正を受け、“診療用放射線に係る安全管理体制に関するガイドライン”が整備されました。患者に対する放射線診療実施前の
説明方針が定められていますが、その中に「放射線診療を目的とした紹介患者については、紹介する病院等と紹介を受ける病院等の双方において正当化及び最適化、
患者に対する情報提供を行うこと」と記載されています。そのため、C@rnaを含め放射線科にCTの検査依頼をいただく際にはあらかじめ放射線被ばくの説明を患者様に
行っていただく必要があります。説明の補助となる資料を作成しておりますので、適宜ご活用いただければと思います。お手数をおかけし誠に恐縮ですが、ご理解の程、
何卒宜しくお願い申し上げます。